●●●2002年 エンターテイメント鑑賞総括●●●

 
2003.2.7
去年みた数々のエンターテイメントについて、まとめをしておこうと思っていたのに、あっという間に2月。中村先生ではないが、このままではすぐに1年たってしまうので、慌ててまとめてみた。「映画編」「ライブ(舞台などの生もの)編」にわけて。

だいたいは、見た日かその後の日記に感想を書いているが、他に書くことがいっぱいあったりで、書けなかったときもある。



★映画編★

【鑑賞作品リスト】12本

「シュレック」「トゥーランドット」「モンスターズインク」「活きる」「エトアール」「K.T.」「模倣犯」「タイムマシン」「スターウォーズ エピソード2」「アマデウス(ディレクターズカット版)」「たそがれ清兵衛」「至福のとき」「ハリーポッターと秘密の部屋」「黄泉がえり」「ピカ☆ンチ」


【外国映画】

とにかくみた本数が少なすぎ。恥ずかしい。前にも書いたが、平日に一人でミニシアター系に行くというのが一度もなかった去年。キネ旬の外国映画ベストテンを1本も見ていなくてちょっとショック。最近のキネ旬のベストテンを「いい映画」と思っているわけではないのだが、全然見てないってのはやばい。仲間うちで評判が高かったのがキネ旬2位だった「ノーマンズランド」。見逃したのが悔やまれる。

ハリーにつきあったハリウッド映画をわりとみたが、「エピソード2」「ハリーポッター」は途中で寝てしまった。CGに飽きるのかなあ。「エピソード2」はみた直後にSMAPのライブが始まり、オープニングでライトセーバーを使っていたので、一応、見ていてよかったとは思った。

ベスト1は「活きる」。社会と個人の人生のかかわりぐあい、悲劇と喜劇の塩梅がよかった。「アマデウス」の「レクイエム」作曲シーンも鳥肌モノで、総合芸術である映画のおもしろさを堪能した。
 

【日本映画】
ベスト1は「K.T」。骨太なエンターテイメントだったなあ。そして緊張感が心地よかった。テーマ曲が「チョナンカン」に使われ、そしてコンサートのチョナンソロのビデオにも使われたのも嬉しかった。

「たそがれ清兵衛」は、真田さん、りえちゃんはホントによかったのだが、藤沢周平フリークの私にとっては、映画が饒舌すぎるように感じた。清兵衛もヨゴも、具体的な言葉で語りすぎ。セリフが多いという意味ではなく、山田洋次が伝えたいことがそのままセリフになっている感があり「藤沢周平の世界」というより「山田洋次の世界」だった。

清兵衛や助八の生き様を端正な文体で丹念に描かれた藤沢作品は、そのままで、下級武士の悲哀や、清兵衛や助八の幸福観を現代にも通じるものとして伝えているから、多くの人が自分と重ねて共感したり、憧れを抱いたりしているのだと思う。だから、わざわざ戊辰戦争のエピソードを入れ、近い時代として現代につなげたところはちょっと野暮と感じた。

ハイビジョンでやっていたメイキングがものすごくおもしろかった。山田洋次のこだわりに共感した京都の撮影所のスタッフとともに作り上げられたあらゆるシーン。殺陣をつけていくところで、鋭い動きをするのは真田広之よりも殺陣師だった。もちろん次は真田広之で、代役の助監督などとは圧倒的に違う。すごい。腕を切られたヨゴの左手の甲から指に血が伝わっておちる絵を引きのまま撮るために、リモコンで血が流れ出す装置が作られる。それがなかなか目指した位置に流れないので、何テイクも撮影される。

万事がそんな感じで、めざす映像を撮るためにかけられる手間暇が半端じゃない。山田洋次だからこそやらせてもらえるこだわりだとは思うが、こういう細部にこだわった映画らしい映画がヒットして本当によかったと思う。山田洋次は、また藤沢周平作品で映画を作れそうだ。次回作には草なぎ剛なんていかがでしょう、山田監督。もし「蝉しぐれ」をやるのなら二宮和也もよろしいかと。若すぎて後半は厳しいかな。途中で草なぎ剛と交代ってのはどうだろう。それもちょっと違うか・・・。何を書いているのだろう、私は。
 

松竹といえば気になっているのが撮影所。大船を閉鎖したとき、2002年に木場に新撮影所を作ることを組合と約束したのだが、それが棚上げになっている。「ハリーポッター」で儲けたお金でぜひ撮影所を作って欲しいものだ。そういえば日活も横浜への移転話があったがどうなったのだろう。絶対に調布の方が便利だろうに。
 

そして「模倣犯」「黄泉がえり」「ピカ☆ンチ」。私としては、シュンくんが卑怯だろうが、屋形船を沈める正当な理由がなかろうが、一生懸命、青春していた嵐がかわいかった「ピカ☆ンチ」がこの中では一番ってことで。

「ハッシュ」「害虫」「ピンポン」「阿弥陀堂だより」は見ておきたかったかな。「阿弥陀堂だより」の原作者・南木佳士は大好きな作家。映画の配役は原作のイメージ通りだし、ロケは飯山だったというし、原作に忠実に映画化されていれば間違いようがない気がする。
 

今年の目標はとりあえず少ないけど20本。趣味に嵐が加わったのでますます困難になった感もあるけど・・・・
 


★ライブ(生もの)編★

●演劇:23本

1月  「嵐が丘」(1/14) 「彦馬がいく」(1/24)、
2月  「売り言葉」(2/14) 「ケプラー」(2/19) 「喜劇・地獄めぐり」(2/24) 
3月  「You are the top」(3/14)
5月  「おやすみの前に」(5/10) 「欲望という名の電車」(5/22) 「春子ブックセンター」(5/23)
    「愛さずにいられない」(5/26) 「ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ」(5/29) 
6月  「その河をわたる、5月」(6/5) 「スサノオ」(6/6) 「オイディプス王」(6/21) 「詩のしの詩」(6/28)
7月  藤山寛美追善公演「桂春団治」(7/7)
8月  「アテルイ」(8/8) 「CVR」(8/10) 「ポルノ」(8/14) 「屋根裏」(8/27)、
10月 「マクベス」(10/17) 「新・明暗」(10/10)
11月 「業音」(10/23)


●バレエ・ダンス:4本

シュツットガルトバレエ「じゃじゃ馬ならし」(2/11) スターダンサーズバレエ団「マクミランカレイドスコープ」(3/3) AMP「THE CARMEN」(4/11) 新国立劇場「こうもり」(9/26)


●ミュージカル:3本

宝塚「ガイズ&ドールズ」(4/18)、Swing(7/11)、Fosse(8/2)


●オペラ:2本

新国立劇場「カルメン」(6/12)、新国立劇場「椿姫」(9/12)


●歌舞伎:3回

寿 初春大歌舞伎「文七元結」(1/20)、三月大歌舞伎「俊寛」「十六夜清心」(3/23)、十ニ月大歌舞伎(12/15)


●演芸:7回

神田ひまわりの会(2/12)、桂米朝・最後の歌舞伎座(4/29)、みたか井心亭数えて八十九夜・葉月(花緑)(8/21)、府中の森・笑劇場(7/6)、寄席1倶楽部(7/4)、なんばグランド花月(8/4)、寄席1倶楽部(12/2)


●コンサート・ライブ:5回

綾戸智絵 in スイートベイジル(2/7)、綾戸智絵 in サントリーホール(5/30)、堂本剛ソロ(8/12)、V6(8/28)、Kinki Kids(12/30)


●「椿姫 Reading with 草なぎ剛」(2/16夜,6/22夜,6/23昼,夜) 4回

● "SMAP'02 Drink! Smap! Tour!"  24回
 

◎チケットを買ったのにいけなかったもの

平野啓子「平家物語」、シュツットガルトバレエ「ロメオ&ジュリエット」、ボリショイバレエ「スパルタクス」、ミュージカル「フルモンティ」


【総括】

すべてを通して特に印象的だったのは、燐光群「CVR」「屋根裏」「その河をわたる、五月」、AMP「THE CARMEN」「椿姫 Reading with 草なぎ剛」とオペラ「椿姫」あたり。いずれもすごく濃密な時間だった。

燐光群の「CVR」「屋根裏」は、とにかく同じ空間にいられたことが幸せとでもいおうか、生ものならではの醍醐味を体験したような気がする。「その河をわたる、五月」は、さりげない日常会話のようで、じつは計算されつくされた言葉の積み重ねで、価値観の違う者同士が「対話」をすることで、一つ高い次元に上がる。計算された言葉という点では野田秀樹の売り言葉」もとても濃密だが、2002年は平田オリザ初体験ということで、ピックアップ。

AMPの「THE CARMEN」もスターのダンスだけをみるのではなく、カンパニー全体で完成度の高い作品を見せてくれた。ダンスの公演で全体のデキに満足することは意外と少ない。特に、バレエの場合、主役はいいけど、相手役に難とか、コールドバレエに難とか、逆の場合もある。それが、「THE CARMEN」は、ふりつけ、音楽、構成、メインのダンサーもコールドに相当するダンサーもみんなよかった。元ネタであるカルメンの猥雑感と緊張感があるのもかなり好みだった。ダンスの公演でここまでの満足感はアントニオ・ガデス以来。

2002年の大きな収穫はオペラ「椿姫」との出会い。きっかけは「椿姫 Reading with 草なぎ剛」。オペラ「椿姫」を下敷きにした別の物語という剛の朗読は1回しかみられないから、その1回を充実したものにするために、ものすごく予習をした。DVDを何度も観て、CDを聞きまくり、イタリア語の歌詞まで調べ、歌を聴けばシーンがわかる状態にして、サントリーホールに臨んだのだった。予習の甲斐あり、大好きな剛が朗読しているということさえ忘れるくらい、オペラと朗読作品のコラボを堪能した。とにかく、オペラとの濃密な関係が本当によくできていた。私は「本歌とり」のようなものが好きなので、こういう作品はたまらない。 こんなもの まで書いてしまったくらいだ。

もちろん、剛もステキだった。オペラ歌手はサントリーの時の方が好みだったが、剛のデキは6/23の昼が一番よかった。サントリーホールではほとんど泣いていた私だが、びわ湖ではほとんど泣かなかった。でも最後の回の「日々是精進します」の表情にはグッときて一気に涙。(びわ湖の時のレポが全然書けなかったので今頃ちょっと書いてみた。)こんなに気に入ってるくせに、未だにCDを聞いていない。だって集中して聞きたいんだもん。

また、予習の過程でベルディのオペラそのものの素晴らしさを知った。ちょうど新国立劇場でやったので観ることができた。その前に「カルメン」を観ていたが、歌手によってこうも違うのかということに驚いた。そしてオペラ「椿姫」は作品そのものがとても魅力的であることもよくわかった。ベルディの音楽が本当にすばらしい。複数の歌手が同時に違うメロディーと歌詞を歌うとか、「アマデウス」でモーツァルトが力説する、普通の演劇ではありえないオペラらしさにも溢れていていて、そういうところもとても好きだ。

「僕の生きる道」で「乾杯の歌」をつかったのは、「椿姫 Reading with 草なぎ剛」をふまえての確信犯だと思う。そういえば、「僕の生きる道」も主人公が死んじゃう話だから「椿姫」や朗読の内容と共通しているんだった。これからも出てくるかもしれないな、「乾杯の歌」。
 
 

役者として一番回数を観たのは勘九郎。新橋演舞場と歌舞伎と両方でみると回数が多い。次が大竹しのぶ「売り言葉」も「マクベス」もかなり前の席だったのですごい迫力だった。「売り言葉」「欲望という名の電車」「マクベス」いずれも狂ってしまう役だった。怖かったよぉ。藤山直美もよかったなあ。松たか子も舞台で観るといっそう魅力的。意外な収穫は「嵐が丘」細川直美スサノオ」佐藤仁美。佐藤仁美は今度の吾郎ちゃんの舞台に出るから楽しみ。

歌舞伎はみんなおもしろかった。「十六夜清心」仁左衛門玉三郎のいろいろな雰囲気がみられたし、物語がおもしろかった。猿之助の宙乗りを3階B席で観られたのも最高だった。

演芸は、米朝花緑以外はひまわりちゃん関係ばかり。あとは大阪でいったなんばグランド花月か。次はうめだ花月にしてみよう。米朝は、もっと小さいところでみてみたい。

SMAP以外のコンサートは綾戸智絵とジャニーズだけという偏りぶり。ジャニーズのコンサートもいろいろだってことがわかってよかった。

SMAPのライブについては今更ここでは語る必要はないでしょ。問題は、今年は嵐もあるから、どうやって調整しようか、ということだ。日程次第だろうなあ。


以上、2002年のエンタメ総括。
 

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